
最近、ご自身の足元が少し気になり始めた方。
ご両親の歩き方に、以前とは違う何かを感じているご家族の方。
この記事は、そんな皆さまに向けて書きました。
特別な知識や道具がなくても毎日の暮らしの中で気づけること、今日から始められることをお伝えします。
一つひとつは小さな出来事なので「たまたまかな」「年齢のせいだろう」と、そのままにしてしまいがちです。
けれども、以前は気にならなかったことが繰り返し起こるなら、それは体や暮らしを見直すよい機会かもしれません。
次のような項目を一度振り返ってみてください。
✅ 階段を上るとき、手すりや壁につかまるようになった
✅ 椅子から立ち上がるとき、何かにつかまらないと難しい
✅ 15分くらい続けて歩くのがつらくなってきた
✅ この1年の間に転んだことがある
✅ 転ぶのが心配で外出を控えるようになった
これらは、市町村の介護予防の取り組みで使われている国の「基本チェックリスト」のうち、運動に関する項目をもとにしたものです。
当てはまるものがあっても、すぐに不安になる必要はありません。
大切なのは、できなくなったことを数えることではなく「いつ頃から、どんな場面で変化を感じるようになったか」に気づくことです。
転倒というと屋外での出来事を思い浮かべがちですが、実は自宅の中でも多く起きています。
千葉市消防局の救急統計(令和7年)によると転んだり、ぶつけたりといった「一般負傷」で救急搬送された方のうち、約7割が65歳以上の方でした。
さらに、一般負傷が起きた場所は「住宅」が半数以上を占めています。
また、年齢とともに筋力や体力が少しずつ落ち、心と体の活力が弱まった状態を「フレイル」と呼びます。
フレイルは早めに気づいて生活を整えることで元気な状態を保ったり、取り戻したりできる可能性があるとされています。
だからこそ「小さな変化」に早く気づくことに意味があるのです。
つまずきや歩きにくさには、筋力やバランスの変化だけでなく足腰の痛み、視力の変化、服用しているお薬の影響、病気など、さまざまな理由が考えられます。
「運動不足のせいだろう」と自己判断せず、急に歩きにくくなったとき、転んでしまったとき、気になる状態が続くときは、かかりつけ医などの医療機関に相談しましょう。
暮らしの中での困りごとは、お住まいの市町村にある「地域包括支援センター」や担当のケアマネジャーにも相談できます。
地域包括支援センターは高齢の方やそのご家族のための身近な相談窓口です。
介護予防の教室や地域の「通いの場」などの情報を教えてもらえることもあります。
ご自宅の環境を少し見直すだけでも、つまずきにくい暮らしにつながります。
手すりの設置などの住宅改修は要介護・要支援の認定を受けている場合、介護保険の対象になることもありますのでケアマネジャーや地域包括支援センターに尋ねてみてください。
✔ 廊下や階段など、通り道に物を置かない
✔ めくれた敷物や電気コードが、足に引っかからないか確かめる
✔ 夜中にトイレへ行くときに備え、足元を照らす明かりを用意する
✔ 浴室や脱衣所など、濡れて滑りやすい場所に気をつける
✔ 脱げやすい履物は避け、かかとまで包む室内履きを選ぶ
ご本人が普段どこでつまずきやすいのかを一緒に家の中を歩いて確かめてみると、その家に合った具体的な対策が見つかりやすくなります。
「最近、歩くときに足が上がりにくそう」「外出する回数が減ったようだ」と気づいたら、心配な気持ちを押しつけるのではなく、まずはご本人の話に耳を傾けてみてください。
「危ないからやめて」と止めるよりも「どうすれば安心して続けられるか」を一緒に考えることが、ご本人の「やってみよう」という気持ちを支えることにつながります。
離れて暮らしているご家族は電話や帰省の際に「最近、どこかへ出かけた?」「家の中で困っていることはない?」と、さりげなく尋ねてみるのもよいでしょう。
何気ない会話の中に変化に気づくヒントが隠れていることがあります。
『自分の家で、自分らしく』をひとりで背負わない
私自身、地域で暮らす方々と接する中で「これからも自分の家で、自分らしく過ごしたい」という思いに何度も触れてきました。
その暮らしを支えるには、ご本人の希望を大切にしながらご家族や医療・介護に関わる人たちが、日々の小さな変化を共有していくことが大切だと感じています。
鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師も体のお悩みを伺う専門職の一員です。
施術を希望される場合は、今困っていることに加えて治療中の病気や服用中のお薬についてもお伝えいただき、ご自身の状態に合うかどうかをご相談ください。
私たちも必要に応じて医師など他の専門職と連携することを大切にしています。
「最近、少しつまずくことが増えたかも」
その気づきを、ご自身や大切な方の健康について話すきっかけにしていただければ幸いです。
住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために、日々の小さな変化に目を向けてみませんか。
