
いつも本会の活動にご理解とご協力をいただき、ありがとうございます。
監事を務めております、高野晋輔です。
私は普段、訪問鍼灸マッサージの現場で施術にあたっています。
治療院で患者様をお迎えするのではなく、こちらから利用者さんのお住まいへ伺う仕事です。
「訪問って、実際はどんなことをしているの?」
県民の皆さまから、そう聞かれることが少なくありません。
今回は、その現場で私が日々感じていることをお伝えできればと思います。
訪問鍼灸マッサージは通院が難しい方などのご自宅や施設を訪問し施術を行うサービスです。
同じような症状であっても身体の状態は一人ひとり違います。
そして、暮らしている環境もまた、一人ひとり違います。
どんな住まいで、どんな一日を過ごし、どなたと暮らしているのか。
そうした生活の背景に寄り添いながら施術を組み立てていくことが訪問という現場の大きな特徴です。
現場で私たちに求められている役割は大きく3つに整理できます。
中でも注目していただきたいのは、3つめです。
施術を受けるのはご本人ですが、その効果はご本人だけにとどまりません。
身体が少しでも動きやすくなれば、介助するご家族の負担も軽くなります。
痛みが和らげば、日々の介護に向き合う気持ちにも少し余裕が生まれます。
訪問鍼灸マッサージは、その方を支える周りの方々まで含めて支える仕事だと考えています。
訪問の魅力は何かと聞かれたら、私はまず「一対一で向き合えること」を挙げます。
以前、治療院で勤務していた頃はカーテン一枚で仕切られた空間で施術をしていました。
周囲のスタッフや他の患者様を気にしながらお話を伺うことに、正直なところ少し抵抗がありました。
訪問では落ち着いた環境の中で、ゆっくりとお話を伺うことができます。
すると身体の話だけでは終わらないのです。
これから先の不安、普段は口に出しにくい悩み。
そうした声にも耳を傾けられる場面が本当に多くあると感じています。
一人暮らしの利用者さんのお宅では、施術以外の役割を担うこともあります。
体調や生活の変化に気づく「見守り」の役割です。
✔ いつもと表情が違う
✔ お部屋の様子が違う
✔ 話し方に元気がない
定期的に伺っているからこそ気づける小さな変化があります。
そうした気づきをご家族や関係機関へお伝えすることが、その方の安心した生活につながっていく。
現場に立っていて、そう実感しています。
訪問は長い期間にわたって関わらせていただくことの多い仕事です。
中には人生の最期まで関わらせていただく方もいらっしゃいます。
身体の状態だけでなく日々の暮らしや気持ちの変化にも触れさせていただく。
そこに施術者として大きな責任と大きなやりがいを感じています。
「訪問の日を楽しみにしていました」
「来てもらえて良かった」
そう言っていただけることが何よりの励みになっています。
日々の施術で私が大切にしているのは、次の3つです。
これが施術者としての第一の役割であることは言うまでもありません。
「この人に来てもらえて良かった」と利用者さんにもご家族にも思っていただけるかどうか。
そこには、日々積み重ねる信頼関係が欠かせません。
判断に迷ったとき私が立ち返る物差しがあります。
もし自分の家族が訪問サービスを利用するとしたら安心して任せられる施術者だろうか。
症状の改善を第一に考えながら一人ひとりの生活や気持ちにも寄り添う。
そして、訪問を楽しみにしていただける時間をつくること。
それが私の目指している施術者の姿です。
利用者さんにより良い施術を届けるためには施術者自身が学び続けることも大切だと考えています。
鍼灸マッサージ師会では、さまざまな勉強会や研修会が行われています。
ここで得られるのは新しい知識や技術だけではありません。
経験豊富な先輩方からお話を聞く。
同じ鍼灸マッサージに携わる先生方から意見をもらう。
そうしたやり取りの中から、自分ひとりでは辿り着けなかった気づきや視点が生まれてきます。
訪問鍼灸マッサージは一人で伺うことが多い仕事です。
だからこそ困ったときに相談できる先輩や仲間とのつながりが、とても大切だと思います。
現場で迷ったときに「あの先生に聞いてみよう」と思える相手がいる。
その安心感は、そのまま施術の質につながっていきます。
こうしたつながりを大切にしながら自分自身の知識や技術を高め、日々の施術に活かしていきたいと思っています。
もうひとつ忘れてはならないことがあります。
鍼灸マッサージを必要とする方が、これからも安心してサービスを受けられること。
そのためには、私たち施術者が制度を正しく理解し適切に取り扱っていくことが欠かせません。
これもまた、施術者が負うべき責任の一つだと考えています。
患者さんにより良い施術を届けるために施術者自身も学び続ける。
そして、制度を正しく理解し責任を持って向き合っていく。
これからも、その姿勢を大切にしてまいります。
